かつて難治性の症例で水酸化カルシウム製剤を意図的に根管外に押し出すと治癒が促進されるという治療が提唱されたことがあります。

当時だけでなく現在でも十分なエビデンスがない治療法です。

結論から言うと現時点では間違った治療法として結論づけられています。良好な治癒を阻害するばかりか重篤な有害事象が報告されたため、安全ではないと完全に否定された治療法となって久しいです。

根管外に水酸化カルシウム製剤を押し出して良いことはありません。水酸化カルシウムの押し出しが原因で起こる事故があります。そのうち、吸収されるから大丈夫と言う人もいますが、造影剤が吸収されるのであって水酸化カルシウムは残存し続けます。製品によっては吸収されない造影剤が入っているものもあります。

取説を読んでください。押し出し禁止と書いてあります。人体に害があるので禁止なんです。

水酸化カルシウムを根管外に押し出してしまうと、それが原因で組織の壊死、痛みや腫れ、知覚麻痺などを起こす場合があります。造影剤が吸収されるタイプの場合には、レントゲンに写ってこないので治療を行なった当事者以外には、はっきりと原因を知る術がなくなります。水酸化カルシウムを根管外に押し出したと言う情報があれば、診断の助けになりますがなければ原因不明です。

なので、お願いです。水酸化カルシウム製剤を使う場合には絶対に根管外に押し出すことはやめてください。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事