金属(特にパラジウム)が高騰し続けています。

以前、チタンについて『歯科用金属(保険)の使い分け』の中で少し触れました。耐蝕性が高く、金属なのに生体親和性があり、価格も安定している。歯科用金属の一つの理想形だと考えています。

ここで、チタンが保険に採用されるにあたって何故?と思うことがいくつかあったので触れてみたいと思います。

鋳造法だけで、なぜミリング(削り出し)法の製作方法が選ばれなかったのかの考察。

鋳造

というのは、溶かした金属を型に流し込む製作方法です。

良い点を挙げると、無駄になる金属が少なく済みます。

悪い点をあげるとチタンを鋳造するには、通常の歯科金属とは違い難易度も危険度もかなり高いです。大きな製作物だと熱収縮などの影響が大きくなり精度が悪くなります。

ミリング

ブロックを削り出してつくる製作方法です。

良い点を挙げると、大きな製作物(ロングスパンブリッジなど)でも寸法の狂いなく作ることができます。難易度、危険性もそれほど高くありません。

悪い点を挙げると、無駄になる金属が多く出ます。

どちらがより保険に適している?

今後、適用をロングスパンブリッジにまで拡大する気がないのであれば鋳造法でいいと思います。

ロングスパンブリッジも視野に入れているのであればミリング法が必須になります。

鋳造法によるロングスパンブリッジの問題点

鋳造においては、ロングスパンブリッジを製作する際には小さな塊を複数作って最後にろう付けをおこなって一塊にするのが主流です。

これは、大きな製作物を一塊で鋳造すると収縮率が無視できない誤差となって実際より小さなものが出来上がるからです。歯科においては、ミクロン単位で精度が要求されるのでキチンとしたものを作ろうとすると必須の技術です。

保険で認められている金属で技術的にろう付けが可能なのは金パラだけです。

チタンは、特殊な金属で特に高温時において加工が非常に厄介です。鋳造するだけでも特殊で高価な装置を使わなければなりません。ろう付けなんて、どれだけの設備がいるか、、、現実的ではありません。

なので、チタンでロングスパンブリッジの製作をするならミリング法が一番現実的です。

では何故鋳造法が選ばれたのか?

正直わかりません。

ただ、想像するに

保険請求をする際に、どれだけのものをどれだけ使ったというのがはっきりしないと悪いことして余計にお金をふんだくろうという考えを持つ人はこれまでも一定数存在してきました。性善説を信じて裏切られてきた歴史があります。歯科医師にも一定数悪どいことしたりする人はいます。

なので、しっかり証拠を残せる形で認可する必要があったんだと思います。

ミリング法だと、ブロックから削り出していくわけですが材料代を浮かせようとすると一つのブロックから二つ三つと削り出せば材料費は浮きます。材料費だけ三つ分請求して実際に使った材料は一つだけで差額は丸儲けとかのズルを許すわけにはいかないのです。ブリッジ用の大きなブロックだと間違いなく設計次第で可能です。

なもんで、悪さはさせないからなと牽制しつつ今後適用を広げていく段階でロングスパンに限ってはミリング法も可能になるのかもしれません。

要望を通すには

保険医協会や歯科医師会はいろんな改善案を要望したりしてるので、署名協力を求められたら面倒臭がらずに是非とも署名していただけると嬉しい限りです。

過去に違法献金やらを繰り返した歯科医師会に悪いイメージを持っている方もいてそんなところに協力する気はないという信念をお持ちの方は、保険医協会の方にご協力お願いします。別の組織なので、過去に悪いことした組織は応援する気はないという気持ちとも折り合いがつくと思います。

自分の推し(笑)も保険医協会です。

よろしくお願いします。

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