一般的に「根管治療(神経の治療)」として広く知られていますが、専門的には「歯内療法(エンドドンティクス)」と呼ばれます。これは単に悪くなった神経を取るだけの処置ではなく、「ご自身の歯を生涯にわたって残すための包括的な治療体系」を指します。

 キビキノ歯科がご提供する歯内療法は、歯の状態に応じて大きく以下の4つのステージに位置付けられます。

  1. 歯髄温存療法(VPT:Vital Pulp Therapy)虫歯が深く進行している場合でも、特殊な材料を用いて可能な限り神経(歯髄)を抜かずに生かして残す治療です。歯の寿命を延ばすための最初の防衛線となります。
  2. イニシャルトリートメント(初めての根管治療)神経を残すことが生物学的に不可能になった際に行う、初めての根管治療です。健康な歯質が多く残っているこの段階での治療の質が、将来の歯の寿命を最も大きく左右します。
  3. リトリートメント(再根管治療)過去に根管治療を受けた歯が細菌感染により再発した場合に行う治療です。すでに歯質が失われていることが多いため、いかに削らずに無菌化するかが問われます。
  4. 外科的歯内療法(歯根端切除術など)通常の根管治療(リトリートメント)だけでは治癒が困難な複雑な病変に対し、外科的なアプローチを用いて直接感染源を取り除き、歯を保存する最終手段です。

 このように、神経を守ることから最終的な外科処置に至るまで、すべての段階で最善を尽くすのがキビキノ歯科の歯内療法です。

根管治療における標準治療(保険診療)と精密治療(自由診療)の違い

 上記のステージのうち、多くの方が直面するのが「2. イニシャルトリートメント」と「3. リトリートメント」からなる根管治療です。

キビキノ歯科では、ラバーダム防湿、NiTiファイル、マイクロスコープを用いた治療を、安全な根管治療を行うための基本と考え、保険診療・自由診療にかかわらず標準的に導入しています。(必要に応じて、歯科用CTによる事前の3次元診断も行います。

 その上で、キビキノ歯科では患者さんのご希望や歯の状態に合わせて、さらに時間と特殊な材料・技術を投入する「自由診療」という選択肢をご用意しています。

 実は、根管治療をした歯が将来抜歯になってしまう大きな原因の一つに、「歯根破折(歯の根が割れてしまうこと)」があります。 治療のために歯の中を削れば削るほど、歯は弱くなり、日々の噛む力に耐えきれずに割れやすくなってしまうのです。

だからこそキビキノ歯科の自由診療では、「いかに細菌を減らすか」と同じくらい、「いかにご自身の健康な歯質(特に強度の要となる根元の部分)を削らずに残すか」に徹底的にこだわっています。

 保険制度の枠組み(時間や使用できる材料の制限)を外し、再発防止と将来の歯根破折リスクの低減に特化したキビキノ歯科の自由診療の特徴をご説明します。

自由診療(精密根管治療)における4つの特徴

1. 歯根破折を防ぐための「歯質の保存」と、複雑な根への対応

 歯を失う大きな原因である「歯根破折」を防ぐためには、治療の入り口をできる限り小さくし、健康な歯質を残すことが極めて重要です。

キビキノ歯科の保険診療では、効率の高いNiTiファイルを使用し、標準的な歯であれば無駄に削らずに治療を行っています。しかし、大きく曲がった根などの複雑なケースになると、器具の金属疲労による破損を防ぐため、安全を優先して入り口の歯質を削り、「直線的な道」を作る必要があります。

 自由診療では、あらかじめカーブを維持するNiTiファイル(マルテンサイト相)を使用します。器具を「回転」させず「左右に細かく反復運動」させることで金属疲労を抑え、複雑なカーブでも大きく削ることなく、本来の形態に沿って汚れを擦り落とすアプローチをとります。もちろん、複雑な形状に合わせて安全を確保するため、最小限の範囲で直線的な道(ストレートラインアクセス)を作ることもありますが、基本的には将来の歯が割れるリスクを防ぐため、ご自身の歯質を最大限に残すことを目指します。

2. 将来のリスクを見据えた、細菌へのアプローチ

 根の中の細菌を完全にゼロにする(無菌化する)ことは生物学的に不可能です。治療が治癒に向かうかは、残った細菌がご自身の「免疫力」で抑え込めるラインを下回るかどうかにかかっています。

 ここで注意が必要なのは、治療後に根の中の細菌数が増えていなくても、加齢や体調不良でご自身の免疫力が低下したタイミングで、抑え込まれていた細菌が原因となって再発することがあるという点です。

そのためキビキノ歯科では、「今、治癒すればいい」という基準ではなく、将来の再発リスクを見据え、レーザーや音波機器(LAI・EDDY)を駆使して最大限、細菌の数を減らします。

 特に「再治療」のケースでは、前の治療の古い薬や汚れが壁にこびりついています。これを取り除くために歯を大きく削り直すことはせず、体温で変形していびつな壁面にも広範囲に届く特殊な清掃器具(XP-endo Finisher等)を用いて、複雑な壁面に残った汚れだけを物理的にこそぎ落とし、洗い流します。

3. 最終段階での徹底した感染対策

 根の中の掃除をしている最中、術者の手袋や使用している器具には細菌が付着します。保険診療の枠組みでは、最後の処置のためだけにすべての器具を交換することは困難ですが、キビキノ歯科の自由診療では、根の中に詰め物をする直前に、使用していた手袋を捨てて新しいものに履き替えます。

さらに、ピンセットや詰め物用の器具類もすべて「新たな滅菌パック」を開封し、新しいトレーの上に出して完全にリセットします。これは、医療側が原因となる感染リスクを極力下げるための大切なステップです。

4. 隙間を作らない充填と、内部からの強度補強

 極限まで減らした細菌を再び増殖させないためには、活動するスペースを物理的に埋めてしまう必要があります。自由診療では、「カルシウムシリケートを主成分とする水硬性セメント」を使用します。これは歯の微量な水分をトリガーにして自ら反応・硬化する性質を持ち、細菌を封じ込めるのに適した材料です。

 さらにキビキノ歯科では、出来うる限り治療を終えた「その日のうちに」、天然の歯と同等かそれ以上の強度を持つ短繊維強化型の樹脂材料(everX Flow等)を用いて、強固な土台(フタ)を作り上げます。日を空けずに密閉して細菌の侵入を防ぐだけでなく、特殊な繊維の力で歯を内側から補強し、将来的に歯が割れてしまうリスクを抑える構造を作っています。

治療の選択について

 医療において「100%再発しない」と約束することはできません。しかし、キビキノ歯科では保険診療・自由診療にかかわらず、それぞれのルールの範囲内で最大限の治療を行っています。

 現在の歯の状態をしっかりと検査し、それぞれの治療法のメリットや限界について事実に基づきお伝えします。ご自身の価値観やご希望に合わせて、最適な治療法を一緒に選んでいきましょう。

「まずは保険で治療して、再発したら自由診療にしよう」とお考えの方へ

 歯科治療において、「まずは保険診療を選択し、もしうまくいかなければ、次は精密な自由診療でしっかり治そう」と考えるのは、患者さんのお気持ちとして非常に自然なことです。

 しかし、こと「根管治療(神経の治療)」においては、そのステップアップ方式が、将来の抜歯リスクを高めてしまうという事実があります。
 
 もちろん、キビキノ歯科の保険診療では、標準的な歯であれば無駄に大きく歯質を削ることはありません。しかし、「とりあえず保険で」と治療をスタートし、もしその歯の根が複雑に曲がっているなどの難症例だった場合や、治療時間が足りなくなりそうな場合、保険診療の枠組みの中では「安全の確保」と「スピード」を優先せざるを得ません。そのため、どうしても入り口の健康な歯質を大きく削り「直線的な道」を作らざるを得ない限界が来ます。

また、仮に大きく削らずに済んだとしても、保険診療では「再利用する器具が根の中で折れてしまうリスク」や、「時間をかけた徹底的な殺菌」「隙間のない即日の密閉」を行うには、どうしても時間的・材料的な限界が存在します。

 一度削って失われてしまった健康な歯質(強度の要となる部分)は二度と元には戻らず、最初の治療で取り残された細菌やわずかな隙間は、静かに再発の芽を育てます。

後になって再発し、「次は自由診療で」とキビキノ歯科での再治療をお選びいただいた場合、特殊な器具(XP-endo Finisher等)を用いて「これ以上、無駄に歯を削らずに古い薬だけをこそぎ落とす」というアプローチで残りの歯質を守り抜きます。

 しかし、最初の治療ですでに歯が弱くもろくなってしまっていれば、その後にどれだけ精密な治療を行っても、将来の「歯根破折(歯が割れること)」のリスクを下げることは非常に困難になります。また、再発した根の中に潜む細菌は非常に厄介で、治癒のハードルも最初の治療よりはるかに厳しくなります。

 だからこそキビキノ歯科では、「一番健康な歯質が残っている、初めて神経の治療を受けるタイミング(イニシャルトリートメント)」こそが、歯の寿命を左右する最大の分岐点だと考えています。生涯にわたってご自身の歯を残すために、一番最初の段階で「削る量を最小限に抑え、確実に細菌を封じ込める治療」を選択することの価値を、ぜひ知っていただきたいと考えています。

キビキノ歯科 根管治療Q&A

Q: キビキノ歯科の「歯内療法」とはなんですか?


A: 単なる「神経を抜く処置」ではなく、ご自身の歯を生涯にわたって残すための包括的な治療体系です。可能な限り神経を残す「歯髄温存療法(VPT)」から始まり、初めての根管治療、再発時の再根管治療、そして最終手段としての外科的歯内療法まで、歯の状態に応じた4つのステージがあり、すべての段階において最善を尽くします。

Q: 保険診療と自由診療(自費)の根管治療はどう違いますか?


A: キビキノ歯科では、ラバーダム防湿、NiTiファイル、マイクロスコープを用いた治療を、保険・自由診療にかかわらず標準で行います。その上で、自由診療では保険制度の「時間」と「材料・技術」の制限を外し、特殊な器具や材料を惜しみなく投入します。将来の「歯根破折(歯が割れること)」や再発のリスクを極限まで下げることに特化している点が最大の違いです。

Q: 根管治療をすると、歯が割れやすくなるというのは本当ですか?


A: 事実です。治療で歯の中を削るほど歯は弱くなり、日々の噛む力に耐えきれずに割れて抜歯になるリスク(歯根破折)が高まります。そのためキビキノ歯科の自由診療では、複雑な根の形状でも無駄に削らずに汚れを落とす特殊な器具を使用し、強度の要となるご自身の健康な歯質を最大限に残すことに徹底的にこだわっています。

Q: 「とりあえず保険で治療して、再発したら自費でやり直す」という選択はどうですか?


A: 根管治療において、そのステップアップ方式は将来の抜歯リスクを高めるため推奨していません。保険診療の枠組みでは、安全確保とスピードのために、どうしても最初の段階で歯を大きく削らざるを得ない限界が来ます。一度失った健康な歯質は二度と戻らないため、後から自費でやり直しても、すでに歯が弱くなっていれば将来割れてしまうリスクは避けられません。「一番健康な歯質が残っている初めての治療」で、削る量を最小限に抑えることが歯の寿命を大きく左右します。

Q: 他院で治療した歯の再治療(リトリートメント)の場合、さらに歯を削ることになりますか?


A: キビキノ歯科の自由診療における再治療では、これ以上無駄に歯を削ることは極力避けます。体温で変形していびつな壁面にも広範囲に届く特殊な清掃器具(XP-endo Finisher等)を用いて、複雑な壁面にこびりついた古い薬や汚れだけを物理的にこそぎ落とし、洗い流すアプローチをとります。

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