「歯のクリーニング」
歯科でこの言葉を使うことでいろんなことが正しく伝わらないと考えているのです。

そもそも論として、歯のクリーニングと聞いた場合なにか病気の治療であると思い至る人は少ないと思います。分かっていたとしても、繰り返し聞かされることによって軽く考えてしまいがちです。

歯科で「歯のクリーニング」なぞとのたまう際、通常は歯周病の治療です。
歯周病は、汚れ(バイオフィルム)や歯石といった感染物質にたいして免疫反応として炎症が起こり、炎症が原因で最終的に歯槽骨が溶ける病気です。

治療法は、炎症の原因を取り除き再度付着させないことが大切です。
具体的には、歯石やバイオフィルムを除去し歯磨き指導を行います。
歯石の除去など歯科医院でしか行えないことを含んでいます。
この「歯石やバイオフィルムを除去」をクリーニングと言い換えるのです。


「歯をクリーニングしていきますね。」
「歯周病の原因である汚れや歯石を除去していきますね。」
この2つの言葉のどちらか一方を聞き続けた人がこんな場面に遭遇したとします。

この歯磨き粉と歯ブラシのセットを使うと、歯のクリーニングが完了!!
自然な美しさが自宅で簡単に!!
「個人の感想であり効果効能を保証するものではありません」

いろんなサプリメント等のCMでよくやるパターンですね。

はい、ここでちょっと待った!
「クリーニング」に対して掃除してきれいにするという意味で捉えてしまうと
「じゃ、歯医者いかんで済むやん。」って思ってしまいます。

歯科で言うクリーニングとこの場合のクリーニングの意味が違うことに気づけているでしょうか?
歯科で言うところのクリーニングとは、
歯周病の原因である汚れや歯石を除去する治療です。

ですが、通常そんな違いを意識できている人は稀です。
「歯をクリーニングしていきますね。」
を繰り返し聞いていた人だとクリーニングできるなら歯医者行く必要ないって思っちゃうかもしれません。

「歯周病の原因である汚れや歯石を除去していきますね。」
を繰り返し聞いていた人だとクリーニングという言葉とそもそも関連付けすらしないかもしれません。

誤解を与えずに相手に情報を伝え健康な状態を維持してもらおうとするなら、「クリーニング」って言葉を選択しないほうが良いなと思っている院長でした。

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