近頃、また良からぬことをちょくちょく聞くようになりました。
転院してきた方など複数の情報源があるので信じたくは無いけれど本当なのかなと思っています。

端的に言うと

歯内療法を行えばまだまだ長く使える歯を治療せずに、歯が弱くなって最終的に抜かなきゃいけなくなるから抜いてインプラントとしなければなりませぬ と言うネジ屋がいるそうです。
ひどい場合は、理由の説明もなく抜いてインプラントの話しかしないようです。

これを聞いた時、発狂しそうになりました。
多くの歯科医師は、患者さんの利益を第一に考え真面目に頑張っています。

ですが、抜く必要のない歯を抜いてインプラントにするという行為は
患者さんではなく自分の利益を第一
に考えたものです。一部の歯科医師が著しく品位を低下させてるなぁと思うのです。

先の話はヒポクラテスに土下座してこいと言っていい案件です。
(ヒポクラテスの誓い(要約):医師が患者の利益を第一に考え、秘密を守り、正当な治療を行うことを誓うもの。)

厚労省が設定する歯内療法の診療報酬が現在経費だけで5千円赤字とかブラック企業も真っ青な報酬設定で利益どころか経費さえ出ない赤字治療とはいえ、それは無いだろうと。医療人としての前に人としてどうかと思うぞと。
(厚労省の一方でホワイトになれと言うけれど自分がやっていることはブラックという二枚舌もどうかと思うけれど(笑))

一般的に、歯内療法を受けた歯とインプラントの10年生存率は90%程度と差はありません。

早めにインプラントにしたからと言ってそのインプラントがちゃんとした歯内療法を受けた歯より長持ちするという事実も今のところ存在しません。インプラントが天然歯より優れているという事実も存在しません。天然歯のほうが優れています。インプラントは下位互換です

将来的にインプラントにするとしても、現時点でインプラントが10年健康な状態を維持できるという事実も存在しません。あくまで、病気を抱えていようが口の中に存在しているというのが生存率です。このような事実から、医学的には天然歯をできるだけ長く持たせて駄目になったらその時はじめて出てくる選択肢としてインプラントが存在します。患者さんの利益を第一に考えたときに積極的にインプラントにする医学的な根拠は知りうる限り存在しません。

通常、患者さんの利益を第一に考えるならしっかりとした歯内療法を行い(コスト面で保険診療では本当に厳しい)保存する。非外科的な歯内療法が奏効しないなら外科的歯内療法(順番が逆でも可)を行う、それでだめなら抜歯というのが歯内療法が必要な歯に対する治療法でありガイドラインです。

早めに歯を抜いてインプラントをすると患者さんにとってより良いなんて医学的な正当性を裏付けるものは自分の知る限り無いです。そして、世界的にもこの問題(治療可能な歯を抜いてインプラントにする)には警鐘が鳴らされています。

では、なぜインプラントにしたがるか です。

日本においては、厚労省が必要な診療報酬を出さないことで必要な時間や器具が確保できません。
そのため日本の保険診療における歯内療法の成功率は25%〜50%程度です。
(本来きちんとした知識、技術に基づいて行われた治療は90%程度です。)
しわ寄せがすべて患者さんに向かっています。
赤字になるからやりたくない、きちんとした治療をしようとすると赤字が莫大な金額になるから無理!が本音ですね。
(開業してから10年分の歯内療法における赤字を先日計算したら少なく見積もっても軽く三桁万円超えてました。下手すると4桁届くかもしれません。)

世界的には、きちんとした歯内療法にはかなりの知識と技術及び時間が要求されます。
翻って、難症例を除くインプラントに要求される技術、特に抜く必要のない歯を抜くような場合は特段難しいことはないようです。

「金儲けのことだけ考えるなら、簡単でより実入りの良い方法で商売として儲かるのです。」
なぞと青い正義感でこんなことを短絡的にいうのは簡単ですね(笑)。

ですが、日本においてこの問題の根本にあるのは材料費や経費すら出ない診療報酬で保険診療を強要するブラック企業も真っ青な腹黒い厚労省(笑)にあると最近は考えるようになりました。

だからといって、患者さんに専門知識がないのをいいことに情報弱者を言いくるめ不必要で高額な患者さんにとって利益のない治療を行うことは正当化できません。情状酌量の余地はありますが、そんなことをするのは医療人ではありません。
歯科医師の矜持を持たず国家資格を持っているだけのロクデナシです。(個人の感想です)

本来であれば、
「きちんとした歯内療法を行えばまだまだ長持ちする歯です。ですが、コスト面で保険診療できちんとした治療を行うことができません。また、その技術も持ち合わせていません。なので、もしきちんとした治療を受けれるところがあれば探していただいてそこで治療を受けるのが良いかと思います。」
ってのがあるべき姿だと思います。

どうか、自分を守るためにも歯医者を信用しないでください。
「よくわからないからお任せ」
この言葉は、とても危険な言葉です。

人は弱い生き物です。目先の欲に囚われたり、魔が刺すこともあります。
何かしらの信念や矜持を持たずに生きている方はそういったものに負けてしまいます。
持っていたとしても、追い込まれたりすると魔が刺したりします。
どうか、闇落ちする歯医者が少なくなるよう政治家になって改革してくださると助かります(笑)。

ちなみに、転院してくる患者さんの中には非常に丁寧な治療を受けておられて尊敬の念が浮かぶような方もたくさんいらっしゃいます。こんな話をしてしまいましたが闇雲に歯医者不信になる必要は無いですからね。

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