ちゃんと知識をつけなきゃ思ってたんとちゃうってあるからね!

「インプラントは進化して安心。」ってのが盛んに宣伝されたりしてるけどそんなことないからね。

過去に勢いでやってきた結果、いくつかの問題が表面化してきています。

そもそも、問題提起されてものらりくらり認めなかったインプラント周囲炎に関しては、封殺しようとしてどうにも誤魔化せないとようやく認めたような業界です。

それに対する解決方法や正しい評価方法を未だ探っている段階で成熟してない世界だと考えてください。

安全性はある程度担保されていますが、安心というには、、、。

安心っていえる材料が未だ揃ってないと評価するのが公平かと考えています。

インプラントが歯周病菌にやられる「インプラント周囲炎」。この発症率はほんの数パーセントだ、などと宣うのは、マーケティングであって医学的には魁!!男塾の『民明書房』ぐらいの信頼度しかありません。

ん!?どういうことかって?
大規模な調査をする際に以下の3つをすべて満たした疫学基準が病気と定義されています。

1.骨レベルが、インプラントの骨内部分の最上縁から「3mm以上」下がっていること。
2.プロービング時の出血(BOP)、または排膿(化膿)があること。
3.プロービングデプス(歯周ポケットの深さ)が「6mm以上」であること。

この基準はあまりにもひどく病気の人を正しく見抜く確率: 15.4%です。言い換えれば84.6%も見逃されます。

タイヤのパンクに例えると、釘やネジが刺さって空気抜けてベコベコになっててもタイヤのパンクじゃないサイドウォールが避けてバーストしてないとパンクじゃないって言ってるようなもんです(笑)。

インプラント周囲炎が正式に認められるまでの歴史

  • 1980年代前半: インプラントの感染症リスクは否定されていた。「噛み合わせ」や「異物反応」が原因だと考えられていた時代。
  • 1987年: Mombelliらが、インプラント周囲から歯周病と同じ悪玉菌を検出し、初めて「インプラント周囲炎」を細菌感染症として報告(Oral Microbiol Immunol. 1987)。しかし、業界の重鎮たちの反発もあり、その後長らく黙殺される。
  • 2008年: 世界的にトラブルが激増。第6回ヨーロッパ歯周病ワークショップ(EWP)にて、学会レベルでようやく「周囲炎は細菌による感染症である」と公式に認められる(Lindhe J, Meyle J. 2008)。
  • 2017年(発表2018年): アメリカ・ヨーロッパの合同ワークショップにて、「インプラント周囲疾患」が世界共通の疾患カテゴリーとして正式登録。「疫学基準」などの基準もここで確定、30年かかって病気として認められる(Berglundh T, et al. 2018)。

都合の悪い事実をできるだけ先延ばしにして、もう誤魔化せんと認めざるえなくなるまでの20年、それから10年かけて病気として公式認定。計30年かかって、その基準も不当に低くなるように調整された疫学基準、業界の不誠実さが浮き彫りになっているように取られてもしょうがないなって思う。

現在進行形でその不誠実さの真ん中にいるのが患者さん。
これが、安心なわけあるかいっていう根拠になります。

本当の有病率


本来正しく病気の有無を調べようとするなら埋入後1年時のレントゲンと比較して骨吸収があり炎症があればインプラント周囲炎やインプラント周囲粘膜炎です。ましてや排膿なんてあれば確実にそこに感染源があります。

1.骨レベルが、インプラントの骨内部分の最上縁から「3mm以上」下がっていること。
2.プロービング時の出血(BOP)、または排膿(化膿)があること。
3.プロービングデプス(歯周ポケットの深さ)が「6mm以上」であること。

この基準全てを満たす
と言う条件は
これは多くの病気を無かったこととしてカウントすることになる!こんなのおかしい!
と思ったかどうかはわかりませんが、異を唱え問題提起している人たちの論文が存在します。

正しく病気があるかどうかを診断した後に、この基準で診断したらどうなるか、、、。
病気を抱えたインプラントの「84.6%」が、「健康」という判定になりました。
この基準は本当は病気のものを病気ではないと過小評価させる仕組みになっています。

言い換えればインプラントの長期予後で前述の基準が使われているものは、信頼に値しないということです。

というわけで、信頼に足る論文は自分が調べた限りこの3つです。
Wada M, et al. (2019)(平均 6.4年 ± 3.4年、最長15年)
Romandini M, et al. (2021)、Derks J, et al. (2016)(それぞれ9年)

長期予後ではRomandini M, et al. (2021)、Derks J, et al. (2016)を
用いてインプラント長期の有病率を語るのが公平な評価になります。

Derks J, et al. (2016)

対象数: 患者588名、インプラント2,277本

対象の特性: スウェーデン社会保険庁の国家登録簿から無作為抽出。特定の大学病院や専門医だけでなく、一般開業医で治療を受けた患者集団。

予後(追跡期間): 9年(機能開始後)
評価基準と有病率(患者単位):
基準A(骨吸収 > 0.5mm + 出血): 発症率 45.0% (初期の病理的破壊を含む)
基準B(骨吸収 > 2.0mm + 出血): 発症率 14.5% (中等度〜重度の進行)

Romandini M, et al. (2021)

対象数: 患者427名、インプラント1,495本
対象の特性: 上記Derks(2016)と同じスウェーデンのコホートを解析対象。
予後(追跡期間): 9年(機能開始後)
真の有病率(ベースラインあり:進行性骨吸収 > 0.5mm + 出血/排膿):
患者単位: 45.2%
インプラント単位: 25.2%
疫学基準の診断精度(ベースラインなし:骨吸収 ≥ 3mm + ポケット ≥ 6mm + 出血):
感度(真の患者を正しく見抜く確率): 15.4%

これらの、信頼に足るデータからわかることは9年も経てば出血排膿を伴うインプラント周囲炎に少なくとも25%以上の確率で罹患しているということです。
患者単位で言うとおおよそ2人に1人に出血/排膿を伴う感染源としてのインプラントが存在していることになります。

インプラントって良いものではある。

これまでもネジ屋の批判をよくしてるから、この人インプラント嫌いなんだなって思われているかもしれませんが、実はそんなことはありません。

患者さんのためでなく自分の金儲けのために不必要なインプラントをしているネジ屋が嫌いなだけなのです(笑)。

業界が認めていなくとも、インプラント周囲炎のリスクを説明し治療法を探してきた責任感のある素敵な人達がいることも知っています。願わくは、そういった歯科医師に出会って欲しいと思っています。

インプラントに関しては正しく認識しましょう。

インプラントは天然歯の下位互換です。不幸にも失ってしまった歯や、保存できない歯の代替手段としては 一つの優れた方法です。

けれど、勘違いして欲しくないのは残せる天然歯を抜いてインプラントにするのはより性能の良いものから性能の悪いものに変更するダウングレードです。

保存可能な天然歯を抜いてまでインプラントにする医学的な正当性は当然ながらありません。

もっと良いものとして天然歯がある(インプラントとの比較)

  • 歯根膜による過荷重の回避
    • 天然歯の優位性: 天然歯には歯根膜があります。20μm(髪の毛1本)の厚みを感知するセンサーとクッションの役割を担っています。そのおかげで、過度な咬合力を防いでくれます。
    • インプラントの現実と反論: Misch CE(Int J Oral Implantol. 1990)などは「インプラントの強固な固定は咬合力に耐える利点だ」と主張するけれど、生体が限界を感知できない以上、患者が気づかぬうちに過剰な応力がかかり続け、結果として上部構造や周囲骨の破壊を引き起こす原因になります。
  • 結合組織の強固さと血流による細菌バリア
    • 天然歯の優位性: 天然歯の周囲は、コラーゲン線維(シャーピー線維)がセメント質ときっちり結合し、豊富な血流を持ち、免疫細胞などが働きやすい環境が揃っている。
    • インプラントの現実と反論: Buser Dら(J Dent Res. 1992)はインプラント周囲にも強固な粘膜シールが形成されると報告している。だが、それは血流が乏しく、線維がただ「平行」に巻かれているだけの瘢痕組織で強度は天然歯の周囲組織には及ばず、一度バリアを突破されると無抵抗のまま骨破壊が進む。
  • 非外科的治療(スケーリング・SRP)への良好な反応
    • 天然歯の優位性: 天然歯の歯周病は、ルートプレーニング(器具による物理的な感染除去)を行えば、組織の引き締まりや再付着が十分に期待できる。
    • インプラントの現実と反論: Schwarz Fら(J Periodontol. 2006)はEr:YAGレーザー等を用いれば非外科的でも一時的な炎症軽減ができるとした。しかし、大規模なシステマティックレビュー(Renvert S, et al. J Clin Periodontol. 2008)では、どの非外科的アプローチを用いても病状の進行を予測的に止められないと結論づけられている。チタン表面の微細な凹凸に入り込んだ細菌を、物理的に完全にリセットする手段が今のところ存在しないため。
  • 外科的介入(再生療法)における「再付着」の確実性
    • 天然歯の優位性: 天然歯であれば、重度の骨吸収が起きても、エムドゲインやリグロスなどの再生療法で再び骨と歯根膜を「再付着」させる予知性のある治療が確立されている。
    • インプラントの現実と反論: Roos-Jansåker AMら(J Clin Periodontol. 2007)は骨補填材を用いた欠損部の回復を報告している。だが、それはレントゲン上で骨が詰まって見えるだけで、一度細菌汚染されたチタン表面への「真の再オッセオインテグレーション(骨との再結合)」が起きた確証はない。Cochraneレビュー(Esposito M, et al. 2012)でも、インプラント周囲炎を確実に治癒させる標準的な外科術式は未だ存在しないと断言されている。
  • 局所的な免疫応答の差(病変の拡大スピードと範囲)
    • 天然歯の優位性: 天然歯の歯周炎では、生体の防御反応により、炎症性の病変は結合組織内に自己限定的に留まろうとする。
    • インプラントの現実と反論: Zitzmann NUら(J Clin Periodontol. 2001)は、インプラント周囲粘膜も天然歯と同様の炎症反応を示すとした。しかし、Carcuac Oら(J Dent Res. 2013)の実験モデルが示す通り、インプラント周囲炎の病変は結合組織の防壁がないため、容易に根尖側(骨髄側)へと直進してダイレクトに骨に到達する。インプラントの病変が天然歯に比べて一気に加速して広がる理由はここにあるとされている。

と、下位互換たる理由を並べました。

天然歯を残すために必要なこと

これらを語る上で歯を失う原因を知らなければ語れないと思うんだ。

公益財団法人8020推進財団が発表した「第2回 永久歯の抜歯原因調査」によると
歯周病: 37.1%
う蝕(虫歯): 29.2%
破折(歯が割れること): 17.8%
その他: 7.6%
埋伏歯(親知らず等): 5.0%
矯正: 1.9%

合計が100%にならないのは無回答があったためだそうです。

これらから、天然歯を守るためには、歯周病治療および予防、虫歯(歯内療法含む)治療、歯の強度を保つことができる治療、咬合力のコントロールが大切だと考えます。抜歯原因の84.1%に関与してる項目です。

歯周病治療および予防

保険診療において、治療も予防も可能になってます。治療が終わっても簡単に再発する病気なのでSPT(予防管理)を引き続き受けていくことが歯を守ることにつながります。

虫歯(歯内療法含む)治療、歯の強度を保つことができる治療

虫歯は、ぶっちゃけある程度の大きさにならないとレントゲンに写らないし、定期検診を受けていたとしても発見できません。できるだけ早期発見して早期治療ができることが大切です。

保険診療の枠組みに縛られなければ、より良い治療法を選択することで、歯質の強度を保ち寿命をのばすために温存した方が良い部位や組織を極力残すことができます。

虫歯の治療や歯内療法において、再発のリスクを抑え歯の強度をできるだけ損なわないように治療することは歯を守る上でとても大切です。

咬合力のコントロール

人間の顎の力はとても強く、人によっては自分の歯を割ってしまうような力を発揮する人もいます。また、繰り返し強い力をかけられることで、積み重なった負担が疲労骨折のように歯を割ってしまたり、咬合性外傷という歯を失う原因になることもあります。

これらは、ナイトガードの使用や普段の生活習慣をかえることである程度改善が見込めます。
保険外の方法では、ボトックス治療などでも改善が見込めます。

まとめ

インプラントは天然歯の下位互換なので、残せる歯を抜いてまでするものではない。

残せない歯や、欠損してしまっている部位には優れた選択肢の一つ。

それでもインプラントが安心といえない問題が種々存在する。

現在進行形でその不誠実さの真ん中にいるのが患者さん。

これが、安心なわけあるかいってやっぱり思うのだよ。

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