ちょっと詳しい人なら何かしらピンとくるかもしれません。
備忘録も兼ねて自分の知る限りの話を書いてみます。

ここで、突然
『キビキノ歯科医院では私費ではCSM(またはBC)使っています。 』
と言ったとしましょう。
歯科医師でも意味がわからない人いると思います。

『キビキノ歯科医院では私費ではMTA使っています。 』
と言ったとしたら、デンタルiQの高い人なら意味がわかる可能性が高いと思います。

MTA

MTA(Mineral Trioxide Aggregate)とは、詳しく書くと分厚い本一冊ぐらいの量が必要になるので簡単に。

MTAと表現したほうがわかりやすい(MTAは良い材料って刷り込みがある故)ので本来MTAではなくともMTAと商品名に書いているものが多数あります。

MTAとはBC(バイオセラミック)の一種です。
ものすごく簡単に書くとBCとは「傷害部への修復と再建を目的として生体に用いるセラミック」です。
なので、MTA≒BCです。BCの大きな枠の一部にMTAがあります。

歯科領域における利用可能なBCは『ハイドロキシアパタイト様結晶生成能を有する生体活性』を有するものと考えてよさそうです。
現在MTAと呼ばれているものや名付けられている商品の中には、実は本来の意味でMTAではないものも含まれています。

ポルトランドセメント由来の本当の意味でのMTAには、重金属や人体にとって有害な成分が若干含まれています。ですが、生体親和性が著しく高いという面白い材料です。歯質を変色させるビスマスが添加されていて他にも変色の原因である鉄、マンガンなどが含まれているのでネガティブな一面も持っています。
前歯部などの審美領域に用いると変色による著しい審美障害を考慮しなければなりません。

MTAを名乗るものでも、有害な物質を取り除き有効成分と人体に有害でない成分で同等のものをという目的で作られたのがCSM(Calcium Silicate-based Material)ケイ酸カルシウム系材料に代表されるBCです。造影剤をジルコニウムに変え変色しないように作られているものもあります。
細かく言うとBCの中にはCSMに分類されないものもありますが、今回は置いておきます。

CSMが大事

ここまでの話でCSMを含む材料が良いのだとわかってくれたと思います。
一方で、MTAという名前がついているだけで十分な効果が期待できない残念なものも散見されます。
一般的にはRMMTAもしくはRMCSMと呼ばれるレジン強化されているものは論文等を読む限り今のところ自分は使用する気はありません。

基本的には、覆髄や歯髄の保護目的で使うのであれば長期にわたりPH10以上を維持できればプレミックスタイプであろうが粉液タイプであろうが良い材料と考えて問題なさそうというのが個人的見解です。

さて、ここまで読んでくれたら『CSM使っています』の真意が伝わると思います。

人体に有害な成分を含まず歯質の変色を起こさない、健康、審美性により配慮したより良いと思われる材料を使っているんだなと思ってもらえると嬉しいです。

ですが読まない場合には全く伝わらないし、より良い治療を求める人の検索に引っかかりません。
もしかしたら、MTA使ってくれなかったなんて残念な気持ちになるかもしれません。

キビキノ歯科医院ではCSMを使っています。

MTAは世に出てから20年以上が経過しており、CSMとして研究も進みデメリットを打ち消したうえでより良い材料として進化してきました。後追いの材料も予後比較が行われているため材料を選べば同等以上の成績を持つものも散見されます。そういったものから、キビキノ歯科医院で使用するものを選択しています。

そういった、こだわりを持って使用しているのです。
なのであえて言います。
「キビキノ歯科医院ではCSMを使っています」と。

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