歯内療法の予後を左右する要因の一つが根管内に残存する細菌です。
歯内に感染がある場合、9割以上は浮遊菌で除去や消毒は難しくはないです。
ですがバイオフィルムという固着した状態で存在しているものが非常に厄介です。
このバイオフィルムを除去するのが非常に難しく、例えば抗菌剤でどうにかしようと思うと通常の1100倍の濃度が必要と言われていたりします。物理的に除去するのが一番確実なのですが、根管の形態は複雑で物理的な除去は行き届かないのが現実です。

ラバーダムの必要性


ラバーダムをせずに治療をするということは唾液の中にいる細菌の侵入を許すことになり、バイオフィルム形成に直結するためラバーダムをした上で治療をしたほうが良いです。ラバーダムをしていない治療はただ単に感染経路を拡大しているだけと言い切られてしまうくらい予後が悪いです。そのため日本の保険の治療の歯内療法の成績は、25〜50%程度しか健康な状態を維持できません。結果的に、病巣を抱える確率は50〜75%です。

(保険治療では歯内療法はただでさえ赤字です。ラバーダムをするとさらに赤字が増えます。きちんとした治療に必要な経費を国が出しません。嫌なら保険医やめてください です。なので、ラバーダムをせずに治療している歯医者さんを責めることはしないでください。優先的な立場を利用して赤字診療を強要する厚労省に対して要望していただけると良いかと思います。あの人たちは矢面に立たない限り動きません。)

根管内洗浄の大切さ


バイオフィルムを含む感染源を除去するため、根管内表面を全部触ってどうにかしようとしてきた歴史があります。
2000年代前半にどうにも物理的接触による除去(全体の6割程度しか触れない)が不可能だと結論がでました。
現在は化学的洗浄でどうにかしようと洗浄方法に焦点が当たっています。

今現在、効果的な根管内洗浄方法と言われているものは主に動的洗浄法です。
その中でも、
VDW Eddyに代表される軟質ポリマーを用いたもの、
超音波を用いたもの、
Er:Yagレーザーを用いたもの、
XP-endo finisher (過去にはSAF)など特殊なファイルを用いたもの
がそれぞれ効果的と言われるようになっています。
それぞれ、根管内中央に効果が高かったり、根尖部が得意だったり、バイオフィルム除去に優れていたり、弯曲根管が得意だったりと特徴があります。
それらを理解して使用することが大切です。

歯内療法で求められるもの


現在、歯内療法で大切と考えられているのは
根管に新たな感染をさせない。
根管の細菌を極力減らす。
治療後に再感染をさせない。
              の感染対策が主になります。

ここで大切なのが、洗浄とラバーダムです。

洗浄に使う薬剤

主にNaOCl、EDTA、CHX、H2O2、水などが主に洗浄に使われます。

NaOCl:現代の歯内療法において必須と言っても過言ではない薬剤です。主に有機質(細菌や幼若バイオフィルム、残存した歯髄)を溶解し殺菌及びバクテリアへの栄養供給元をなくすために使います。

EDTA:無機質溶解剤です。切削粉と細菌などが混じり合ったものは無機質が多くNaOClでは取り除けません。感染源になりうるのでこれらを溶解し取り除きます。

CHX:難治性の根管内に存在するE.faeclis等は次亜塩素酸に耐性を持っています。そういった細菌に有効です。

H202:それ自体の殺菌作用はNaOClに劣り、NaOClの効果を減弱させるため使われることのほとんどなくなった薬液ですが、若干の止血作用があるため根尖孔からの止血目的で使うことがあります。

水:生理食塩水、滅菌水、水道水、ナノバブル水等があります。日本においては、水道水は飲料可能な状態ですので、病原性の大腸菌の検出は0、その他の細菌も極めて低いレベルになっています。ですが、細菌がいないわけではありません。キビキノ歯科では、保険では水道水をナノバブル水にしたものを使用しています。これによって、細菌の抑制や薬液の浸透力を上げることができています。コストを完全に無視して徹底的にやる方法としては、洗い流す水として生理食塩水や滅菌水を使います。

キビキノ歯科でできること

キビキノ歯科医院の根管洗浄では上記の洗浄方法を全て行うことができる設備があります。
ですが、保険で行う治療に関しては全てを使うことはできません。
保険診療でもラバーダム、マイクロスコープ、NiTiファイル(といった要所に自費のエッセンスを取り入れています。通常、同様の治療を保険で行うところはほとんどありません。)を用いて治療をしているため、これだけでも歯科医院側がお金を払って治療しているような状態です。人件費を含めると数千円の赤字です。保険内で妥協のない治療を行うと歯内療法はとんでもない赤字が出ます。

例えると、通常の保険診療は給食費(全国的な給食費平均300円前後)しか貰えないのに食材、人件費でそれ以上の金額がかかっている状態です。それ以上(フルコースを提供)をするのは経済的に不可能です。

申し訳ないですが、妥協のない歯内療法を受けたい方は自由診療の歯内療法を選択してください。
現在、保険での歯内療法は120分以内にコストがかからない範囲でできることをやる形にさせてもらっています。

現在円安やインフレによる材料費の高騰などが歯科にも押し寄せています。
近々、歯内療法に限らず自費診療にかかる治療費を値上げさせてもらう予定です。
改定前に申し込まれた方は、治療が改定後になっても改定前の金額で行います。

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