歯内療法が趣味な院長です。
根管充塡の方法や材料は現在著しい進化をしています。
何が一番いいの?となってくると現在はBC系のシーラーを使った根管充塡とMTAセメントを用いた根管充塡が甲乙つけ難いのではないかと考えています。
根管充塡の目的
拡大形成を行なった根管に再度バクテリアが侵入できないようにする
というものと
現在の器具、技術では除去しきれないバクテリアやバイオフィルムを密封、埋葬することで病原性を失わせるという二つの大きな目標があります。
材料の良い点、悪い点
MTAセメント
良い点は、硬化時膨張することで充填後に歯質と密着し気密性が高い充填が行えることです。また、根尖孔が壊れてしまっているような難儀する症例に効果的です。
難点としては、操作性が悪く技術がいること。分子量が大きく(象牙細菅の約10倍)BC系のシーラーと比較して細かいところまでは行き渡らないこと。プレミックスタイプでない場合、硬化時の水分が足りていない事が多く(水を含んだ綿球置くだけじゃセメント内には浸透しないため操作性をよくするために硬めに練ると内部で硬化反応が起こっていない。これMTA使ってても知らない人多い。)不十分な硬化になっていることに気づいてないのが多いこと。除去が不可能なので再治療は外科処置に限定されるということです。
BC系シーラー
BC系シーラーとGPを用いた根管充塡の良い点はMTAと同様に硬化時膨張するため歯質と密着し機密性の高い充填が行えます。また、分子量が小さく流動性も良いためMTAセメントでは行き渡らない部位(象牙細管内に入り込める大きさ)にも行きわたる。シンプルな術式なので、失敗しにくい。除去が行えるので再治療が可能。
難点としては、加圧が不十分だと気泡が混入する。商品によっては流動性が良くないってとこかなと。
保険診療でできること
BC系のシーラーは保険で使えるものが自分の知る限り2種類ありますが、硬化反応が本来のBC系のシーラーと違いあくまで保険で使えるように調整した製品のため妥協を強いられているように思います。(硬化が鹸化反応だったり、BCがケイ酸カルシウムじゃなかったり、アパタイトタグの接着強度が低いとかいろいろね。)
それでも、保険領域にBC系のシーラーを持ち込める利点は大きいためキビキノ歯科では保険適用のこれらのシーラーを使っています。
ですが、自由診療の際は本当のBC系シーラーもしくはMTA(BC)による根管充塡を行なっています。もちろん、プレミックスタイプです(笑)。
これからの話
保険の治療をいい加減にやってはいませんが、妥協はせざるをえません。
(それでもラバーダム、NiTiファイル、マイクロスコープは最低限使っています。)
採算が取れないからです。
さらにコロナ前とコロナ後で平均して3割ほど材料費が上がっています。
そのため、保険診療においては今まで通りというわけにはいかなくなりました。
現時点でも自分の技術料を0円としても数千円の赤字が出ます。
回数が増えると簡単に万単位の赤字になります。持続不可能です。
今後、最大2回 合計90〜120分 の中でできうることをするという形にさせてもらいます。
最善を尽くしてほしい場合
それ以上の治療、妥協のない治療を希望される場合は自由診療の歯内療法を申し込んでください。
また、他院で治療をしても何度も再発をする。症状がおさまらず治療がすすまないといった場合、石灰化、狭窄、ファイル破折、レッジ形成、強彎曲、S字彎曲といったもの、難症例の場合は自由診療で行えると助かります。120分では足りない場合があり制限の中では途中で諦めざるを得ない場合があるからです。
技術的にはもっとできますが、経営を考えると保険診療ではもうできません。
ついでのお知らせ
先ほど材料費の高騰に触れました。それ以外にも技工料の値上げ等経費が増大しています。
自由診療も歯内療法だけでなく他の診療項目もあわせて遅くとも今年度中に値上げさせてもらうことになります。値上げ前に申し込まれた方は、旧料金、改定後に申し込まれた方は新料金になります。
ご理解よろしくお願いします。