最近ブルーラジカルP-01に関して時々聞かれることが有ります。
現時点で自分が知る限りを考えとしてまとめます。
世界初を謳っていますが、あくまで日本という国で「認証を受けた」のが世界初です。
まるでこの機器でしかできないような誤認をしてしまいがちですがそんなことは一言も書かれていないようです。
この機器の概要を伝えると、歯石やバイオフィルムを除去しながら消毒もしちゃえるよというものです。
意地悪な言い方すると、「スケーリングと同時に消毒できるだけだよ。」です。スケーリングができないような深いポケットや複雑な歯根形態に付着したバイオフィルムや歯石といった原因を従来の器具に比較して除去できているのかは不明です。
一般的に通常のスケーラーでは歯周ポケットが6ミリを超える場合は外科的な手段を用いなければ大元である歯石やバイオフィルムを物理的に除去することはほぼできません。チップの形状が限定されるこの器具においてはそれ以下の深さまでしか治療器具を到達させることができないと考えられます。
では、そういった難儀する歯周病に有効な治療法はあるのかというと古くは14HT法という治療法。
これは、アンチホルミンという薬液を使用して歯周ポケット内の歯石、バイオフィルム、肉芽組織のみを選択的に溶解し治癒に導くというものです。これの利点は薬液が入るスペースががあれば器具が届かない複雑な根面にも到達しうるという点です。その点で、歯周病治療本来の根表面の感染物質を除去し治癒を促すという理想に理論上というか報告によれば最も達成しうる治療法なのかなと、、、。ですが、一度は途絶えてしまった治療法で情報が少なすぎること、症例報告のようなものでエビデンスに足るとは判断できないと考えています。
現代においては、Er:Yagレーザーが国内認証は取得していませんが原理上ブルーラジカルP-01と同様な消毒効果が見込めます。
ブルーラジカルP-01の肝は過酸化水素水を基剤に青色光によって反応させフリーラジカルを作り消毒することです。青色レーザーでは歯石やバイオフィルムを除去できません。消毒を除けばエアスケーラーや超音波スケーラーだけで可能です。歯石を取るのと同時にフリーラジカルをポケット内で生成し消毒もできちゃうぜってのがミソなわけです。感染源の物理的除去に関しては通常のスケーリングと同等以上は構造的に期待できないと思われます。
では、Er:Yagレーザーで治療するとどうなるかですが
レーザー照射による歯根面の歯石除去(スケーリングではなく蒸散によります)および肉芽組織除去が行えます。また、水を基剤にレーザーによる反応でフリーラジカルが作られ消毒も行われます。キャビテーション、衝撃波によってスケーリングでは不可能な部位のバイオフィルム除去が期待できます。レーザー照射を行った歯根面や歯周組織は活性化され治癒が促進されます。
認証をとってないですが、同等以上のことができています。
話は変わりますが
たとえばMTAなどが代表的ですが、国外では覆髄以外に硬組織の穿孔の封鎖や根管充填材料として使用されていますし疑いようのない実績も有ります。ですが、日本では覆髄剤としての治療の効果の他には認められていません。他の治療に関しては適用外使用として治療に用います。
もし今後それらの認証を取る作業を行いそんなMTAを製品として出したら日本で認証を受けたという枕詞をつければ、世界初を名乗れます。
非関税障壁と言われるものなのかそれ以外の理由が有るのかわかりませんが、わざわざ日本で認証を取るには大変な労力や期間(治験)が必要なのでとってない医薬品や機器が多数有ります。海外では医薬品でも国内では材料登録で非関税障壁回避をしてたりするようです。
MTAで厚労省から「覆髄、根管充填、穿孔封鎖」と明記されたらたぶん世界初です。世界初を売りに同じキャンペーン仕掛けたら、全国の歯医者さんからすごいツッコミがはいると思うのです。
言葉遊びだよねと、、、。
厚生労働省の医療機器認定において、「歯周治療・歯周炎・歯周ポケットの殺菌・スケーリング」と明記された初めての歯周病治療器、、、それ以上でもそれ以下でもなく一つの機器だけで全部やれますよって意味として捉えています。この機器でしかできませんよでは無いのです。
同様の効果効能が見込める機器や治療法は存在していますが、厚労省の医療機器認定において「歯周治療・歯周炎・歯周ポケットの殺菌・スケーリング」が明記されていないだけなんだよなぁと思いながら昨今の狂騒を見ております。
ちなみに、この機器を否定も肯定もしていませんからね。
キャンペーンの仕掛け方、日本語の面白さ、学ぶべきことは多いと思ってます。
ちなみにアプリがあるのですが、これはとても良さそうに見えます。
ペリミル という行動変容を促すものらしいのですが歯周病の治療において最も大事なのは患者さんの協力です。そのためのツールまで用意されているのはとても良いことだと思っています。歯周病で治療や再発予防において炎症の原因(歯石やバイオフィルムの付着)がない状態を維持することは患者さんの努力に依存せざるを得ません。その点で、面白いアプリを作っているのが素敵だと思います。
今後、新しい情報や知識、多数の予後の報告が上がってくれば考えを変えるかもしれませんが現時点では飛びつくほどのものではないという判断をしています。
Er:YAG Laser-assisted Comprehensive Periodontal Pocket Therapy(Er-LCPT)という上述したEr:YagレーザーとSRPを併用した治療のほうが効果的であろうと現状は考えています。
ここまでは、自分が入手しうる情報、知識から考察した内容です。この考えが必ずしも正しいとは思っていませんが現時点ではこう考えているという内容です。
参考にされる方はそこんとこよろしぅお願いしますね。
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