今回もマニアックな話を、、、。こんなことを気にして対策してるよって話です。
歯内療法済み歯の長期予後を決定付ける重要な因子として、マイクロリーケージ(微小漏洩)の管理が臨床的にとても重要です。
(1)根管充填システム
(2)ポスト&コア
(3)接着システム
(4)力学的負荷の影響
に関して配慮した治療を行わなければなりませぬ。
根管充填システム
ケイ酸カルシウムを主体としたBCシーラーを用いた根管充填やMTAやBCパテによる根管充填が今のところ抜きん出ているようです。アパタイトタグ形成による封鎖性の面や、長期間高いphを維持し抗菌性を有する性質によりマイクロリーケージ対策だけでなく残留バクテリアに対する効能もあります。
ポスト&コアの比較
ポストに関しては、間接法より直接法が歯質の保存や破折抵抗性と言う面で有利です。ポストが必要な場合はファイバーグラス製のポストを使うことで、象牙質と同じようにたわみ変形し歯質を守るだけでなく力がかかった時の接着面の剥離を最小限にしてくれます。
コア築造においては、根管孔を封鎖(ポストを立てる場合は植立)のための1層目、歯質強化のための2層目、材質を変えた3層目を用いることで1層構造よりも3層構造のほうが微小漏洩が起こりづらいことが分かっています。
1層目:デュアルキュア型のRMGIC、レジンセメントのほかスーパーボンドなどを特定の方法で用いることで接着面の剥離が起こらないとされています。
2層目:everX Flowという材料が耐破折性に優れ万が一破折したとしても抜歯につながるような破折の仕方を予防します。また、強度面でも非常に優れているのですが接着面の剥離が起きやすい材料です。Cファクターに留意した積層充填方法を用いたり重合開始部位が歯質側になるように照射を行うことでデメリットを回避できます。
3層目:ナノフィラー含有のCRにて2層目が完全に隠れるように充填封鎖します。
接着システムの影響
デュアルキュア型のRMGIC、レジンセメントのほかスーパーボンドは硬化時に収縮が起きます。通常最初に硬化したところに向かって引っ張られるます。言い換えれば歯質面から硬化させると接着面の剥離は起きません。そういったことに配慮し、特性を理解したうえで材料の選択をし手技で足りない部分を補い接着を行います。
デュアルキュア型のセメントは充填後4分以上経ってから光照射すると剥離が起きません。
スーパーボンドは適度な水分に反応して硬化を開始するので水分を含む象牙質との接着においての先の条件を満たします。同様に、レジンセメントの中でもZenというボンディングとセメントを併用することで歯質側からの硬化が期待できます。
これらの知見を活かすと
キビキの歯科の歯内療法(自費)では、長期予後を良好に保つためコア築造までを行います。
現時点で微小漏洩を予防するための最適な材料選択および手法は以下のようになります:
- 根管充填システム:ケイ酸カルシウムを主体としたBCシーラーを用いた根管充填もしくはパテ状のBC、MTAを用いた根管充填
- ポストシステム:ファイバーポスト(耐破折性や弾性率の象牙質との近似により封鎖性の両面で有利)
- コア材料:上記で説明した3層構造。(健康な状態を維持できて強い歯に。)
- 接着法:歯質と剥離させないことに最大限配慮した接着システムおよび手法
というのが現時点で自分が知る知見を最大限活かした微小漏洩への対策になります。
歯を長く持たせたいという考えの方は自費での歯内療法を申し込んでくださいね。
コスト面での制約がなくなると自分の知識、技術、時間を惜しみなく注ぎ込んだ治療を行うことができます。