終売になってしまったのでこんなものがあったんだよで読んでください。

院内の在庫がなくなった時点でこの治療は受けられません。

歯の根っこの先や、虫歯によって神経が死んでしまったり腐ってしまったりもしくは一度そういった治療を行ったけれど根が病気になってしまった時に行うのが根管治療(歯内療法)と言います。

根管内をいかに清潔にできるかが根管治療の成功の鍵である
という考えに異論のある歯科医師はいないと思います。
たまに、根管充塡方法(バーティカルだのラテラルだのCWCだの、、、)を声高に話す人いるけど、根管内に唾液(唾液の中には細菌がいます)や、細菌(きちんと滅菌された道具をつかう)を入れない方がよっぽど大事です!おっきな声で言うと苦情くるかも!?なのでちいさめの声で言ってます(笑)

突然ですが下の写真、治療中の根管の断面の写真です。
 どちらがより良い状態だと思いますか?

、、

、、、

、、、、

、、、、、

正解は『上』

上の写真は、SAFという器具を使って治療した後。

下の写真は、その他多くの手用ファイル、ロータリーファイルなどを使って治療した場合です。(歯の中の治療をする器具をファイルと言います。)

上はほとんど取り残しがないのに対して、下は矢印の部分を含めて取り残しがボチボチあります。

実はこの取り残しが、治療成績に関わってきます。

な ぜ な ら

細菌の餌になってしまうから!!!!

この取り残しをいかに減らすか、少なければ少ないほど良いのです!

SAFを使うと、この取り残しが少なくなります。そもそものコンセプトが秀逸で他のどんな器具でもできないことができます。
次の図は歯の縦の断面図です。見比べるとわかり易いと思うのですが、上がSAF、下が従来のファイルです。

SAFは、網の目状の構造をしていて根管の形にしなやかに変形して表面を磨いていくため、最初の写真上のように取り残しがほとんどありません。
従来のファイルは、写真下のように根管を丸く形成していきます。そのため、円形じゃない部分は触れずどうしても取り残してしまうところが出てきます。

薬液(次亜塩素酸、EDTA)で有機質、無機質を溶かしながら形成を行うから取り残しは少ないという人がいます。
こんなことを言うと刺されるかもしれませんので小さい声で言いますが、この写真10分間、薬液を使用して治療した後です。SAFで治療を行ったものと比較すると、とれていないなぁと自分は思ってしまいます。これが、細菌の塊であるバイオフィルムであった場合、SAFでは3%程度まで減らせるのですが、従来型の器具では20%程度を取り残してしまいます。

下の写真は歯の根っこの横の断面図です。左側のような円形に近い単純な根管の形態では特に問題になるようなことは少ないですが、右のような円形ではない複雑な形態の根管に関しては大きく差が出てしまいます。

SAFでは、しっかりと形成し清潔にすることができますが、従来の器具では大幅に取り残してしまい清潔にすることはできません。

樋状根や扁平型をした根管には特に効果的です。
左がSAFを用いて治療したもの。
右が従来型の器具を用いて治療したもの。
緑色の部分が本来の根管の形。
赤くなっているところが、しっかり形成できているところです。

樋状根

左は、満遍なく過不足なく全体を形成できています。
右は、必要な部分は触れずに、必要以上に円形に不必要な部位を削っていますし、必要なところは形成できていません。

SAFを治療に用いることでの優位点をまとめると

  • より良い拡大形成を行うことができます。
  • 感染源になる物質を極力少なくすることでより清潔にできます。
  • マイクロクラック(歯根の極小のひび割れ)を防ぐことができます。
  • 再治療時にも優れた威力を発揮します。
  • 器具が折れて根管内に残ってしまうリスクを大幅に減らせます。

と良いことばかりなのです。
もう少し詳しく知りたい方は「こちら」を見てみてください。英語で書かれていますが、書ききれていないことも載っています。

でも、いくつか難点もあります。

  • ファイル一本の値段がアホみたいに高い(一本6千円弱、一箱じゃないよ泣)

参考までに普通の一般的なステンレス製の手用ファイルの値段一本百円〜3百円程度、高価と言われているNITI ロータリーファイルでも一本2千円程度、ぶっちぎりで高価です。

  • 原則一回だけの使用を推奨 
  • 基本的に一回使ったら捨てるってことです。滅菌して再度使うことは可能ですが、それでも数回しか使えません。
  • 専用の器具を使わなけらばならない  
  • 汎用品の道具には取り付けることができません。振動数と水量の制御ができる機械とさらに専用のハンドピースを用いなければ使えません。
  • 使用にあたって実習を受けなければ販売してくれない   
  • 使用方法が従来の器具とはまるで違うので習熟する必要があり、実習を受けて正しく使えるようになって初めて購入できます。

歯内療法の原則を踏まえた上でですが、
これで治療してダメなら外科的処置で対応するしかないかなと思います。
また、最初から再治療になる可能性を少しでも低くするためには、SAFを用いた治療がより良い治療だと思います。

だけれども、保険治療で根管治療を行った際にもらえるお金は点数にして144〜588点なので、1440〜5880円。2回目以降は28〜46点。この金額の中に、スタッフ人件費、器具代、滅菌代、技術料、診断料などが含まれています。
正直、この器具使わなくても人件費、器具代、滅菌代だけでも赤字になることが多い治療です。しっかりやればやるほど、経営が苦しくなります。技術料、診断料は『愛』でカバーするにしてもスタッフの生活もかかってるので材料代だけで大赤字になることはさすがの自分もできません。愚痴になりますが、そもそも同じ治療をした時に物価の大幅に安い発展途上国よりも、低い金額で、ちゃんとやると赤字になってしまう治療をボランティアでやれと強要する保険制度がおかしいんです。例えば難症例(根管が曲がりくねってる、樋状根等)はどうしても複数回治療に必要なことが多く、その場合一時間近く拡大鏡などで覗きながら治療して負担金260円(3割負担)だったりします。安すぎて、うちの患者さんもビックリする方よくいます(笑)。

なので、自由診療でのみ使っています。
人件費、器具代、滅菌代、技術料、診断料を正当にいただいた金額設定です。
想像以上にいい値段しますよ(笑)。

一番言いたいこと

なので、そんな高い金額払わなくても済むように
普段から定期検診に行きませう。
そして症状が出る前の初期虫歯のうちに治療しましょう。
そうすれば、患者さんも歯医者さんも双方ハッピーです。

本当はこれが一番言いたいことでもあります(笑)。

話が逸れました。

まとめると
ラバーダムなどの感染対策をしていない治療は論外として従来の治療法を否定するわけでも、悪く言ってるわけでもないです。きちんと、行えばちゃんとした結果がでます。
ただ、今までの治療法ではできなかったより良い治療法がありますよ。
という紹介になります。

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